STStudy Tour
2016.10.18

ROCKET研修旅行

自己矛盾の旅
ポーランド、アウシュビッツ収容所

アウシュビッツ収容所、ホロコーストの象徴ともいえる場所がポーランドのクラクフにある。第二次世界大戦、ナチスドイツの支配下で、静かで美しい町の一部が凄惨な虐殺を繰り返す絶滅工場と化した。それから70年後の煉瓦造りのその場所は、異様な空気をまとっていた。

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「飢える」ことを知らない今を生きる子どもたちと共に、その地に足を踏み入れた。門をくぐり、歩を進めるにつれ、薄曇りの曇天が過去の大罪を塗りつぶすように暗く広がり、背筋が凍るような感覚を覚えた。

 

クラクフの夏は30℃、冬は−20℃まで下がるという。そんな気温差が激しい土地で、50頭分の馬小屋規格で建てられたバラック小屋に1000人もの人が布切れ一枚で押し込められたという。隙間風が常に吹き込む小屋の中、用を足すこともままならない中で強制労働を強いられ続けたその人たちは、まさにナチスドイツが恣意的に定めた「優秀な人」の基準から外れてしまった人たちだった。労働力とみなされなかった人たちがガス室に送られるという悲惨な最期を辿るのと同時に、労働力とみなされた多くの人たちは過重労働と飢餓に悶え苦しみ亡くなっていった。

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食べないということは死に直結する。時間とともに生命力を徐々に奪い取っていく餓死に人々を追いやったのは悪魔ではない。紛れもなく私たちと変わらない人間だ。これほどまでに非人道的な行為は特殊で異常な別世界のように感じるが、ある基準で優劣をつけて何かを選択していく心のあり方は全く同じものであるのだ。行き過ぎる思考や行為は、ある一つの方向性を持った時に加速する。人の貪欲な想像力や創造性が一方向に進む限り、アウシュビッツは過去として終わらない。実は、いつも私たちの心の中にはアウシュビッツは存在するのだ。この自己矛盾が、日々の暮らしに変化のある視点を持ち続けよと警鐘を鳴らしてくれる気がする。

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