TTTop Runner Talk
2016.02.08

スカラー候補生 定例プログラム

好きなことをして生きる
竹内信善(造形家)

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2016年2月8日のトップランナー講義は模型作家の竹内信善 氏による「好きなことをして生きる」。竹内氏はプロの模型作家として活躍しています。

 

竹内氏は「僕は学校に行きませんでした。家にいて、嫌いなことはやらなかった人間です。」と自己紹介をしました。聞けば、幼稚園から不登校を始め、小中学校時代、たまに学校に顔を出すものの、基本的に不登校、という生活を送ったそうです。家ではフィギュア作りに没頭していたとのこと。言ってみれば、ROCKETのスカラー候補生の先輩。

 

竹内氏はティラノサウルスなどの作品をスカラー候補生に見せながら、「誰も恐竜を見たことがないので、生きた姿を想像するしかない。その想像する作業が楽しい。」と語ります。

 

竹内氏は言います。「生物の形や動きを想像するときに、大事なのは『骨』。骨を組み合わせて、姿を想像する。楽しいと言ったけど、難しいことでもある。いろんなバリエーションが無限に考えられる。だから、骨を実際に見たり、インターネットで調べたり、最新の知見を集めたりして、こういう動きをするんじゃないか、表面はこうなっているんじゃないか、という考えを作品にしていく。」

 

そして、このように続けました。

 

でも、僕は科学的に証明するという役割ではなく、想像して作るという役割。だから、僕なりに考えると「おかしい」と感じるところを自分なりに変えて、模型を作っている。例えば、ティラノサウルスはやじろべえ型の体勢をとっているというのが定説だけど、僕は後ろにバランスを置くようにして作っている。いつも、これが正解じゃないかな、と思いながら作品を作っているけど、正しいとは言えないんですよ。

 

ところで、竹内氏と中邑ディレクターとは、実は竹内氏が中学生のときからの旧知の仲。作品紹介の後、竹内氏と中邑ディレクターとの対談が始まりました。

 

中邑:フィギュア作りはどこで学んだの?

 

竹内:学校では教えてもらっていないです。学校ではやることが用意されているじゃないですか。好きなことをやろうと思うと、用意されたことが邪魔になってくる。でも、用意されたことをやらないのはダメなんじゃないか、という気持ちが生じて、悪循環に陥っていく。僕は、学校に行かないから好きなことができた。

 

中邑:なんで学校に行かなくなったの?

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竹内:僕は学校が好きじゃなかったから行かなかった。そのときにいいなと思ったのは、担任の先生が「お前はそういうこと(フィギュア作り)をしているのか」と言ってくれたこと。児童や生徒が全員そこにいなきゃいけない、とは言わず、野放しにしてくれた。だから好きなことができた。そういうユルさが残っている学校ならいいな。でも、それができにくくなっているならまずいと思う。学ぶシステムの一つが学校、という意味で、学校自体はあっていいと思いますよ。僕は行かなかったけど(笑)。

 

中邑:この人は学校に行っていないけど、よく勉強していると思う。あと、恐竜を介していろんなところでウロウロして、いろんな人と会っている。そして教えてもらっている。世の中の周りにいる人がみんな先生なんだよね。

 

竹内:実感をもって伝えるというのはすごく難しい。本からでは実感を得るのは難しいと思う。想像力を使って本を読む人は仮の実感を得られるかもしれないですが。できるだけ相手と言葉を重ねたり、その人の体温に合わせたりすることで実感のある情報を得ることもできるし、作品に実感を乗せて伝えやすくなる。そうすると、人と会った方が早い。

 

中邑:その方が専門家につながりやすいよね。

 

その後、スカラー候補生から続々と質問が出てきました。竹内氏が「不登校」、「ものづくり」という自分たちと類似した体験をしてきた先輩だからでしょうか、いつもよりも生々しい内容の質問が多く出てきました。例えば、「教師ってどう思いますか?」「以前、先生からこう言われて、訳がわからなかったが、どう思う?」などのように。

 

教師への思いについての質疑応答の内容はここでは内緒にしておきますが、学校や不登校についての返答については少しご紹介します。

 

中邑:一般的に、国っていうのはシステムをなかなか変えないって思われている。国全体を動かしていく、いろんな人の気持ちを変えていく、ということには時間がかかるからね。でも、今は多くの人が、何か変えなきゃいけないな、という気持ちにはなってきているんだよね。だから、ROCKETも国から応援してもらっている。

 

竹内:そうですね。いきなり、学校以外について知らない人が「(ROCKETやフリースクールのように)学校以外の場所があるんだよ」と言われても、想像できないじゃないですか。だから、色んな人に、学校以外の場所があるんだよ、と伝えようとするのが大事なんじゃないかな。

 

中邑:ただ、不登校になると目立たなくなってしまう。そういうときに、不登校しながらユニークなことを継続してやっている人が、学びの多様性についてアピールしていくことができるんじゃないかな?そういう意味で、竹内さんの存在は大きいと思う。

 

身近に思える先輩を前に、スカラー候補生たちはどのような思いを受け取ったのでしょうか。思いがカタチとなり、彼らのものづくりに表れてくる日が楽しみです。

 

 

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